軽減税率、キャッシュレスポイント還元、いよいよ
軽減税率の複雑さ
連日、テレビや新聞で取り上げられている10月からの消費税増税。
日本では初の軽減税率導入とあって、様々考えられるケースを分かりやすく「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」という形で国税庁が事前に公表しています。
初回に公表したものからQ&Aが何度も追加され、2019年9月13日時点では121問にまで増えました。
「軽減」という言葉から勘違いしてしまいそうですが、事業者からしてみれば、業種によってはとても事務負担の増える「加重」制度ではないでしょうか。
消費税、どんどん複雑化しています…。
キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元)
消費税の増税と同じタイミングで、国は「キャッシュレス・消費者還元事業」として、日本では遅れているキャッシュレス決済を促すための制度を期間限定で実施します。
【キャッシュレス・消費者還元事業】
・還元ポイント………中小事業者は5%、フランチャイズは2%
・還元対象期間………2019年10月~2020年6月(9か月間)
・対象決済手段………クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどによる決済
・対象店舗………資本金5千万円以下または常時雇用の従業員が50人以下(小売業の場合。卸売業、サービス業、製造業その他はもう少し緩いです。)
こういう新しい制度が始まるときには「手続きのために事業者から電話で口座番号を聞き出す」等の詐欺もあり得るとのこと、注意喚起もされています。
この事業への加盟店手続きを2019年9月6日までに申請し、その書類等に不備がなければ10月1日からポイント還元をできる見通しだそうです。
逆に、9月6日までに申請が間に合わなかった場合には10月1日からのスタートには間に合わないかもしれませんが、今後も2020年4月末までは申請を受け付けてくれます。
9月6日までで審査を通過した加盟店数と申請中の事業者数はあわせて約86万件。9月2日時点で審査を通過した加盟店名一覧が地域別、あいうえお順に公表されていますが、6,000ページ以上にわたっています。
沖縄では9月5日時点で5,743店が申請中、すでに審査を通過しているお店はスーパー、コンビニ、ガソリンスタンド、タクシー、飲食店、本屋、電化製品のお店、ホテルなど様々な業種があるようです。
9月中下旬には、地図上で対象店舗を表示するウェブ機能やアプリを公表予定だそうで、どの店舗が対象か判断しやすくなると思います。
私たちの日常で関係してくるところでは、実店舗でのお買い物やネット通販ですね。普段利用するお店のどれだけが対象になるのでしょうね。
上記の緑囲みの「対象店舗」の小売業で、沖縄県の地元スーパーのかねひでが資本金基準を満たすために減資をしたとか。
減資によるデメリットより、ポイント還元を実施しないために顧客が離れてしまうということを防ぎ、ポイント還元が実施できないことにより離れる他のスーパーの顧客を獲得できるメリットを優先したのでしょうね。
これにより、県内のスーパーは主なところで言うと「かねひで、コープ、ユニオン」が5%還元、「サンエー、イオン琉球、リウボウストア」が対象外となるようです。
対象外のスーパーでも、もしかしたら独自の還元サービスを実施するところがあるかもしれませんね。
ただ、この段階でも発表されていないのであれば望み薄でしょうけれど。
コンビニはレシート表記方法の違いはありますが、三者とも2%還元です。
軽減税率もポイント還元事業も、これによってどれだけの方々が消費行動を変化させるのか定かではありませんが、お店側は少なからず影響が出るかもしれません。
ちなみに、那覇空港でこんなお店を見つけました。なかなかの攻めのスタイルです。
飲食店などはテイクアウトと店内飲食、お客様の行動の変化に応じて事業戦略を修正するところも出てくるかもしれません。
ただ、テイクアウトと店内飲食の税率は8%と10%で異なりますが、本体価格を以前と変えないのであれば消費税部分が変わるだけで実質の売上高は変わりません。当然ながら、消費税は直接、損益には影響しません。(消費税の免税事業者を除きます。)
ところで、昨日は息子の療育センターでの受診が午前中にあり、学校を早退させました。
受診を頑張ったご褒美に大好きなラーメンを食べに行くことにし、せっかくなら初めてのお店へということで、ネットで検索した「麺屋武虎 泡瀬店」というお店に行ってきました。
そこは食券制のラーメン屋さんだったのですが、なぜかPayPayのステッカーがあり、食券を買う前に店員さんに『PayPayで払えるんですか?』とお聞きすると『はい、できますよ〜』とのこと。
ラーメン2杯を電卓で計算してくださって、こちらでQRコードを読み込んで決済。
せっかく食券制なのになんだか申し訳ない気分(笑)
『もしかして10月からのポイント還元を見据えた戦略なのでは?!』と思い、後から入店してこられたお客さんを観察していましたが、みなさん現金で食券を購入されていたので、普段から現金のお客さん比率が高いのであればポイント還元は関係ないかもしれません。
ですがこのラーメン屋さんの女性店員さん、メニューで迷っていたときもいろいろアドバイスをくださり、子供への優しい声かけなど配慮もすごくしてくださり、何より終始笑顔がとても素敵で爽やかでした。
10月からのポイント還元があろうがなかろうが、また必ず行こうと思います。
個人的にはキャッシュレス推進派ですが、このように5%のポイント還元以上の価値を見出だせるなら、少なくとも私の場合は行きたいお店に行きます。
事業者側も、軽減税率やポイント還元で実務が煩雑になることはあっても、過度に不安にならずに、引き続き接客サービスなどを充実させることで、きっと変わらずお客さんから愛されるお店でいられると思います。